Was (Not Was) / Tell Me That I’m Dreaming - 政治とFunkが交錯する、アナーキーな’82年クラブ・サウンドの怪作

Was (Not Was) / Tell Me That I’m Dreaming

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政治とFunkが交錯する、アナーキーな’82年クラブ・サウンド

政治とFunkが交錯する、アナーキーな’82年クラブ・サウンドの怪作。ダンスミュージックがまだ純粋な娯楽であると同時に、社会や現実への強烈なメッセージを内包していた時代、その最前線で鳴っていた異形のグルーヴがこの1枚に封じ込められています。


デトロイト発・異端ユニットWas (Not Was)

1982年、デトロイト発の異端ユニットWas (Not Was)が放った異色のサウンド、Tell Me That I’m Dreaming のレコメンド。この12インチは、彼らのセルフタイトル・アルバムからのカットで、後の代表作となる Walk the Dinosaur よりも数年早くリリースされたFunk+風刺+アート を融合させた、先鋭的なPost Discoチューンとなっています。ジャンル分けそのものを拒否するような姿勢が、この時点ですでに明確ですね。


イントロ一発で空気を掌握するDJフレンドリーな構成

冒頭、乾いたスネアが鋭く響き、タイトなリズムセクションとファンキーなベースがイッキに空間を支配する…そこにカッティングギターとシンセブラスが絡み、まるで地下クラブの熱気をそのまま閉じ込めたようなグルーヴを生み出していますね。DJにとっては、イントロだけでフロアの空気を掌握できる1枚となっていてミックスポイントも明確で、特に中盤のブレイクではベースとパーカッションだけが残り、次の展開を期待させるカンペキなDJフレンドリーな構成となっています。


Reaganスピーチが生む強烈なアイロニー

この曲がユニークなのは、Ronald Reaganのスピーチ・サンプルを随所に散りばめているトコロですね。当時のアメリカが抱えていた政治的・社会的緊張を、ダンスミュージックというカタチで風刺しています。無機質な政治音声と有機的なFunkなグルーヴがぶつかり合うコトで、強烈な皮肉とエネルギーが生まれる、まさに「踊れるアート」の先駆けとなったサウンドです。


デトロイト・クラブの汗を封じ込めたプロダクション

プロデュースを手がけたのはDon Was、Jack Tann、David Was…Remixにはデトロイトの伝説的 DJ Ken Collier が参加しており、アンダーグラウンドクラブの「汗の匂い」がそのまま詰まったサウンドとなっています。特にExtended Mixは、ブラスのキレとドラムの生々しさが際立ち、Disco以降、House以前の「未来のダンスミュージック」をカンジさせる危ういエネルギーを放っています。


踊りながら皮肉る、80年代初頭のリアリティ

曲のテーマは「現実逃避」と「社会不信」で、「これは夢だと言ってくれ(Tell me that I’m dreaming)」というフレーズが繰り返されるたび、リスナーは不安定な80年代初頭の空気をカンジ取る…経済不安、冷戦、政治不信——それらを踊りながら皮肉る、ブラックユーモアに満ちた1曲といった趣のあるサウンドです。


Post Disco革命の象徴として

リリース当時、この曲はUS Club Playチャートで最高3位を記録し、アートとダンスの境界を越えた「Post Disco革命」の象徴となりました。今聴いても、その音の質感はまったく古びない。むしろ現代のDJシーンにこそ刺さる「オルタナティブ・クラブ・ファンク」の原点っ! 針を落とせば、80年代初頭の混沌と狂気、そして音楽がまだ社会を挑発していた時代のエネルギーが蘇りますよ。

1982リリース

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